第198話 テルガニ男爵家2

「これで家名と紋章の案が出来ましたね。早々に王城の官僚に重複の確認をされた方が良いですよね。ともに珍しく他にないと存じますが念のためです」

「わかりました。ご助力、誠にありがとうございます」

「モージャン子爵家のためでもございます。ご遠慮なく。ところで親しい商会はございますか?貴族となりますと、その紋章を指輪にして手紙の封蝋に使用する、屋敷、馬車なども体裁を整える、そしてまずは正装を用意する等々が必要ですので」

「屋敷や馬車ですか?」

「ジェロマン様は元々ガニーの街のご出身ですし、王都に拠点を構えられるかも決まっておりませんので、まずは正装などかと思いますよ」

ユゲットがフォローしてくれる。


ではと、とんぼ返りではあるがザール、イド、レナルマンとともにザールの馬車で王城に戻る。

「これは珍しいので重複はありませんね。紋章は清書したものを別途お持ちください。また、今後の出兵等についてお話がありますので、明後日に再度登城ください」

と先ほどの官僚に指示をされる。


ジェロ、イド、レナルマンはアナトマ商会まで送って貰い、ザールだけは先に冒険者ギルドに戻ることになった。

「ジェロマン様、早速のお運び誠にありがとうございます」

「アナトマさん、口調が……」

「あれ?違いましたかな。もう叙爵されたと思ったのですが」

「アナトマさん……流石ですね」

「やはりでしたか。それでもお越し頂けたということは引き続きご用命くださると思ってよろしいのでしょうか」

「はい、お願いしたいことがありまして」

登城するにもふさわしい正装や、紋章図案の清書、それを基にした封蠟のための指輪の製作などを依頼する。あわせて決まった家名も伝える。

「テルガニ男爵、誠に光栄でございます。男爵にふさわしい物をご用意させていただきます」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る