第197話 テルガニ男爵家
ユゲットが執事を呼んで、王城であった経緯などを説明する。ラーフェン王国に近いニースコンやモージャンでの軍勢準備についての早馬が出されたこと、それに合わせて自身からもモージャン子爵に手紙を書いたことも伝えつつ、ジェロが男爵に叙爵されたので家名や紋章について協力するように指示している。
「かしこまりました。微力ながらご説明させていただきます」
「どうぞよろしくお願いいたします」
「まず家名は出身やゆかりのある土地の名前等を選ぶことが多いです。例えばガニー出身のジェロマンと言うのをジェロマン・ガニーという感じです。ただ、ガニーはその名前の領主貴族が既にいらっしゃいますので家名には使えません」
「では、豊穣の女神デメテル様のガニー神殿の孤児院で育てられたので、テルガニはいかがでしょうか。女神様のお名前をそのままはおそれ多いので、下半分を頂いて組み合わせました」
『前世で偏諱(へんき)という文化があってね。偉い人の名前の下半分を自分の名前の上半分にするんだ。徳川綱吉の吉の字を貰った徳川吉宗、伊達吉村、上杉吉憲、前田吉徳、毛利吉就、島津吉貴……』
『知らないわよ、そんな変な名前』
『ま、前世の歴史で学んだ昔の人たちだよ。歴史好きだったんだよ』
「はい、コンヴィル王国にそのような家名の方はいらっしゃいませんので受け入れられると思います」
「ありがとうございます」
「続いて紋章ですが、こちらも思い入れやゆかりのある物を意匠化されることが多いです」
「そうですね。魔法、できれば魔法カードですかね。それとこちらの刀です」
「なるほど、こんな感じでしょうか」
3枚のカードが扇のような重ね方をした上に刀というデザインをさらっと描かれる。
「ここはこうなりませんかね」
元のカードの図柄が簡易な魔法陣であったので、古代魔術のカードを見せて複雑にしてもらう。
『こだわるわね』
『ずっと使うならね』
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