第187話 冒険者ギルド幹部ザール2

ザールからの、ほとんどジェロへの注意喚起の話の最後に、付け加えられる。

もちろんそんな俺も、お前、これからはジェロマン様と呼ぶことになるのだろうな、に対してのアピール、唾つけでの恩売りの解説だよ、これは。冒険者ギルドとしてもギルド職員をそう簡単に手放すつもりは無いぞ、という話にもなるからな。

特に魔人関係の詳細はモージャン子爵の令嬢たちからではなく冒険者ギルドからのみの報告になるなら、俺や冒険者ギルドの立場の確保につながる。感謝するぞ。



「ということですよ、ジェロさん。そういう話なので、今ここに出されてきた報酬の分配もこんな感じで良いですね」

レナルマンが、追加報酬はすべてジェロにあてるだけでなく基本報酬の配分も重み付けするように卓上で小分けにしてきた。

「ジェロさん、しっかり受け取ってくださいね。帝国兵の撃退も含めて、リーダーの配分が多いのは当然ですので」

「逆に誰かに変な話を言われるのも困るので、ぜひ多く受け取ってください。これだけ貰えるだけでも通常の依頼よりかなり割の良い報酬ですから」

あまり思考が追い付いていないジェロであったが、皆の声を聞きつつも、基本報酬の配分だけは均等割りにすることを固持するのであった。

「まぁ、基本報酬の配分はそれでも良いんじゃないか、魔人に再遭遇する前に決めた通りでも」

とのザールの助言もあり、報酬配分は決着する。



本当は冒険者ギルドの魔法カードの在庫や、魔道具店の品揃えを確認しに行きたいところではあったが、精神的な疲労もあり、冒険者ギルドが手配した近くの宿屋に皆と向かうのが精一杯の日となった。


『ヴァル、今日の話は理解できた?』

『まぁ言葉としては理解できたけれど、ジェロが結婚相手に困らなくなりそうというのもわかったわよ』

『そんな話では無かったよな!』

『あら、意外とそういう話だったわよ。自由恋愛で結婚できるかは分からないけど』

『……』

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