第177話 河原での野営
「さて今夜はこの河原で野営にしましょう。ジェロさんの水魔法のおかげで飲み水に困りませんが、本来ここは水補給の拠点であり、野営しやすく整備されていますので」
盗賊の襲撃があった夜、山間の小川に到着した際にアナトマが発言する。
『ジェロ、あそこ、ちょっと気になるわ』
『ん?』
皆で野営準備をしている際に、ジェロはヴァルに従い河原の一部に移動し、数ある小石の中からある小石を拾う。≪簡易鑑定≫でも低級品だが特殊効果があるとなった。
『これ、悪魔の気配を感じるわ』
『なんでこんなところに』
『単に野営の際に落としたというよりは、罠にはめられたのかも。一般の人間には放置されるだけの小石の一つなのに、それだけに気づくことが出来るのはほぼ居ないから』
『本当か?まずいな。悪魔と言えば、あの生き残りの魔人の可能性が高いよな』
『そうね。今夜にも襲撃があるでしょうから、先ほどの≪雷撃≫魔法、覚えられるところまで頑張りましょう』
ジェロは、オークダンジョン最奥で魔人に対して一緒に遭遇した“ジェロ班”のメンバには、あの時の生き残りの魔人が今夜に襲撃があるかもしれないことを、他のアナトマたちには昼間の盗賊を雇った奴が襲撃してくるかもしれない程度のことを伝えて、通常の野営以上に警戒をすることにした。
『巻き添えにしそうな他の旅団が居ないことは幸いね』
『魔人となれば、魔法を使った戦闘になるよな。昼間の盗賊とのやり取り程度ではなく』
『……目立つわね』
『言うなよ……』
待つ間には魔法カードを見てから、雷の理屈を色々と考えていたジェロは、静電気レベルのバチッ程度から練習しバチバチからドーンとなるまで河原にて試していたので、メンバには遠巻きにされてしまう。
『来たわよ』
「敵襲!」
ジェロは皆に聞こえるように叫んで、馬車群や仲間たちを背にするように一人先頭に立ち日本刀を構える。
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