第178話 河原での野営2

河原の端の方、森の切れ間から漆黒ローブで顔まで隠した人物が一人歩み出てくる。

「やはりあなたでしたか。昼間の盗賊たちのところでの痕跡は、火魔法と風魔法は少なく、土魔法と水魔法の方が多くて別人かと思ったのですが。あの時に火魔法だけだったのは隠していたのか成長したのか。せっかく火魔法使い向けに水場の近くで仕掛けたのですが……」

「お前もおしゃべりだったんだな。あの時にはチンピラみたいなのが良くしゃべっていたが、流石に仲間ということか?」

「あんなのと一緒にされるのは心外です。凍ってしまいなさい、≪霧氷≫!」

「く、≪結界≫!」

『やはり仕込んでいたわね』

『あぁ準備しておいて良かった、でも皆は』

ジェロは後ろを振り返り仲間たちの様子を見ると、命に別状はなさそうだが、足などが凍って拘束されているようである。

「ジェロさん、こちらは何とかするので、気にしないで!」


「これも効きませんか。では直接≪氷結≫!≪氷槍≫!」

「≪結界≫!」

『前のヘモスだったか言ったチンピラみたいな魔人は、短い詠唱や魔法陣を使っていたのに』

『ヘモスよりは強いわね。≪霧氷≫は王級水魔法よ。上級≪氷結≫の範囲攻撃版ね。≪氷槍≫は上級水魔法よ』

『王級魔法使いかよ』

『範囲魔法なだけで威力はそれほどではないわ、大丈夫よ。こちらもいくわよ』

ジェロはヴァルと協力して≪豪炎≫≪火槍≫を連発するが、魔人は≪氷壁≫を連発して防ぐ。

『ヴァル、あれを試すよ。ヴァルは火魔法を継続して油断させて』

ジェロは意表を突くように覚えたての≪雷撃≫を発動させる。

「なんだと!」

魔人は耐えられなかったようで片膝をつく。

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