第165話 帝国からの追手3

ムスターデ帝国からの追手に対する尋問結果で分かったことは、そもそもラーフェン王女達は先行しているモージャン騎士団のなかに居ると思われているとのことであった。

騎士団と戦闘になって逃げ戻った帝国兵は、王都へ護衛継続していると思われている騎士団をこっそり追いかける部隊を取り急ぎ用意したらしい。今回の10騎は彼らへの支援部隊であったが、たまたま見かけた商隊に念のために調査をしようとしただけとのこと。

強力な火魔法の使い手が王女達の護衛に居るのであろうことは、ニースコンの城門やモージャンへの街道で帝国兵が殲滅された情報からわかっていたが、それ以上の情報は帝国軍の中にまわっていないらしい。


「じゃあ、下手な抵抗をせずに王子だけ隠しておけば良かったのか?」

「いえ、商隊の中に小さな男の子が居ることを、途中途中の宿などでずっと隠し通せると思えないので、結果としては仕方ないかと」

「そうか。今回の10人の扱いはどうしようか?」

「やはり始末するしかありませんが、ここで始末したことすら隠したいですね。せっかく火魔法の痕跡をつけていないので。また追加で追いかけてくる帝国兵に、騎士団以外と戦闘になったことを知られたくないので。ジェロさん、何とかできそうですか?」

『この平原に土魔法で埋めたら良いんじゃない』

「土魔法で上手く埋めるのが良いかと」

「ありがとうございます。では、剣や紺色ローブなど装備だけは何か使い道があるかもしれないので回収して、王女殿下の魔法袋に収納して貰いましょう」


最後の土魔法の処理までは、またイドたちが対応してくれるというので、少し離れたところで、帝国兵の馬たちを逃がしながら待つヴァルとジェロ。

『日本刀など、ジェロの外観を知るのは生き残った魔人だけということね。もしあの魔人が帝国とつながっているとしたら、なぜ伝えていないのかしら』

『単に現場の兵士に伝わっていないだけか、本人が自分で復讐しに来るつもりなのか』

『どちらとしても面倒ね……。あ、彼ら10人の魂は貰っておくわよ』

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