第160話 モージャンの女騎士
何度目かになる領主館の大広間で、モーネ王女、ヒルデリン王子に対して王都に向かうメンバの顔見せを行う。王太子は興味が無いのか参加していなかったことに対して、前回のことを知るジェロとイドは顔を見合わせてホッとしている。
「では後は護衛の者たち同士で意識合わせをして貰おうか」
王女たちが退席した後に領主のルベリート子爵から庭に案内される。そこで各自の武器も手元に戻されて、連携を含めた立ち位置等の相談をするためである。
「改めて自己紹介をさせて貰う。こちらがユゲット様、私はジャクロエ。私たち二人は護衛というよりは王女たちのお付き、身の回りのお世話のためと思って貰いたい」
「はい、かしこまりました」
「そして伝えておくことがある」
ジェロたちがガニーに向かったのと並行して、王女達を護衛するようなそぶりの騎士団を囮として王都方面に出発させたところ、想定通りムスターデ帝国の騎馬たちによる襲撃があったらしい。
騎士団も数十人、帝国兵も数十人でありかなりな戦闘になったが、装備に優れる騎士団が帝国兵を撃退したものの数人逃がしてしまったとのこと。その騎士団は囮として機能させるため王都方面にまだ向かっているとのこと。
騎士団に死者までは出なかったが重傷者をモージャンに戻させつつ状況を把握したらしい。
「ますます気を引き締めないといけないと理解しました。ありがとうございます。では、改めて役割分担を」
と“ジェロ班”の頭脳であるレナルマンが自己紹介とともに、各自の装備と役割を話す。
「アナトマ父娘はそのまま商人で。王女殿下と王子殿下はそのアナトマさんの姪と甥、ユゲット様とジャクロエ様は鎧・武具から商家の使用人の外観に変更してください。オーレッドさんたち3人と我々冒険者は護衛の装備のままで」
「了解した。配置はどのように?」
「はい。王女殿下と王子殿下の馬車にユゲット様。ジャクロエ様は、アナトマ父娘の馬車と王女殿下たちの馬車のそれぞれを往復するのでいかがでしょうか」
「確かに使用人が片方だけに偏るのも怪しいな。ユゲット様が子供相手も含めて固定で、私が両方だな。了解した」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます