第156話 ガニーへの一時帰郷

初日の出発遅れは初日に取り戻していたので、2日目のガニーへの到着は予定通り夕刻になった。冒険者ギルドでは熱烈な歓迎を受ける。

「メオンさんとジェロが帰って来たぞ!やっと一息つける」

「いったいどうしたと言うんだ?」

メオンが事情を確認していると、ただでさえ今のギルドマスターのドナシアンは事務仕事が苦手でメオンたちに振っていたのに、メオンたちをニースコンに送り出した後もまともに仕事をせず、さらには冒険者たちをつれて自らラーフェン王国に行ってしまう始末。もう業務がまわらないと嘆いていたということらしい。

「今日はニースコンへ行っていた15人の冒険者たちへの報酬等の処理をするから、明日まで待ってくれ。それとすまないが、またすぐに長期出張に行くことになった」

「そんなぁ」

メオンの言葉にぬか喜びかと言っている職員達の発言で、ジェロは自身も頼りにされていることを密かに喜ぶ。

『良かったわね』

『あぁ、ちょっと自信になるな』

とのやり取りの合間に、

「ジェロ兄!」

と呼ぶ若い男性が近づいてくる。

「リスチュー、どうしたんだ?神殿で何かあったのか?」

「違うよ。俺、この冒険者ギルドで見習いをすることになったんだよ」

「あぁ、ジェロ。お前の孤児院の後輩、頼りになるな。読み書き計算が得意で助かっているぞ。事務職員の不足で早めに見習いを募集したんだ」

肉体労働が得意な方ではない華奢なリスチューの将来のあてができるのであれば喜ばしい。

「良かったな、リスチュー。俺はまたすぐに出発するから一緒に働けないのが残念だが、頑張れよ!」

「ジェロ兄、また神殿や孤児院に顔を出してね」

「あぁ」

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