第145話 空間魔法

ジェロは入館料を払って図書館の魔導書のエリアに居る。

「空間魔法の本はこれだけか。確かに軍事機密って言うならば≪拡張≫や≪収納≫は一般閲覧エリアに無いよな」


ジェロが閲覧できたのは初級≪簡易結界≫と中級≪結界≫の魔導書であった。

≪簡易結界≫は小さな隔離された空間を作り出す魔法であり、≪結界≫は人間も含めたサイズの魔法や物理攻撃を防ぐものである。≪簡易結界≫の用途として回復薬の調合などと記載されており、確かに不純物の混合を回避するには便利そうである。≪結界≫は異世界物語でも色々なタイプのある、魔法使いが使用する盾のようなものであろう。

この魔導書も古代魔術語の記載はなく現代魔術語だけであったのは残念だが、習得の意味だけでは分かりやすくて助かる。

必要箇所だけは研究ノートにメモを取り、急ぎ宿屋に戻る。


≪簡易結界≫は化学実験の丸フラスコをイメージする。ただ、一般的な丸フラスコは持ち手でもある出し入れ口の長い首が存在しているが、この≪簡易結界≫では不要であり、結果としては単なる丸い球体で中が空洞のガラスを意識する。

それっぽい物ができた気がするので、その中に≪水生成≫で水を発生させてみても漏れることなく空中に水が球体で浮かんでいる不思議な現象となった。


続いては≪結界≫である。ヴァルに見本を見せてもらうと、透明な四角柱であった。形状はイメージさえできるのであれば変更可能とのことであるが、まずはこれを目指す。

盾に使うことが多いのであれば、車のフロントガラスや防弾ガラスをまずはイメージする。ただ、硬い尖ったもので強い衝撃を受けると全体ではなくてもある部分は細かく割れるイメージもあるので、硬さのイメージはダイヤモンドを意識する。ダイヤモンドも衝撃には弱いと言われているが、現実で割れるシーンを見たことが無いので、硬い認識のままイメージする。


『さすがジェロね。だいたいできたと思うわよ。後は練習あるだけね。魔法をうってあげましょうか?』

『いや、宿屋ですることでは無いから良いよ』

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