第144話 魔法の収納袋

ジェロがアナトマ商会で見せて欲しいと出してきて貰ったのは魔法の収納袋である。

『異世界物語の定番だからな。王女のを見て欲しくなったんだ』

『はいはい。本当、ジェロって時々変なところがあるよね』


見た目も、背負袋、腰袋、腕輪、指輪と色々であった。それぞれの説明を聞くと、袋のタイプには空間魔法の≪拡張≫が付与されており、見た目より多くの物が入れられるが収納物は手探りで取り出すことになるとのこと。袋ではない腕輪や指輪のタイプは空間魔法の≪収納≫が付与されており、これは収納物を意識するだけで出し入れできるものらしい。後者の方が上級の魔法であり貴重品であると。


また魔法の収納袋を製作できる者は極めて少なく、軍の兵站に多大な影響を与えるため機密情報になっているらしい。一般の商店に並ぶものは、あまり容量が大きくない製作物ばかりで、ごく稀にダンジョン等で発見された物が販売されているとのこと。


今回ジェロが入手した大金で買える範囲では、1m×1m×1mの≪収納≫指輪がある。それよりは大幅に安いがそれでも普通には高額である3m×3m×3mの≪拡張≫腰袋も合わせて購入することにした。

『ほらこれで、この刀も収納できるよね。貴族の前に出る時でも失礼でなく』

『あら、そんなこと気にしていたのね』

『あぁ、背負袋どころか腰袋も取り上げられる可能性もあるから指輪が良いよね』


今までは腰につけていたポーション用のポーチでは万が一に割れてしまう可能性もあるので、傷回復や魔力回復の魔法回復薬も≪収納≫指輪にしまうことで戦闘中でも取り出しやすくしておく。オークの死体など嵩張るものは≪拡張≫腰袋にしまうことにする。


『これ、すごく便利だね。自分でも作れるようになりたいな』

『空間魔法は貴重だからね。今の私でも≪結界≫までよ』

『何それ?じゃあ次は図書館に行ってみようか』

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