第141話 モージャン領主館2
「そこの冒険者ギルド職員とその仲間の世話になった。帝国兵の撃退も、ダンジョンによる追手の妨害もそのジェロマンがやってくれた」
「ほぉジェロマンとな。しかもオークダンジョンだと。そうか、前の騒動のときの。良くやった」
「は、ありがとうございます」
何とかそれだけの言葉をしぼり出して返す。
「しかし、帝国兵が王女殿下達を探してこのダンジョンや街をうろついていると言うことですな。衛兵達に注意喚起しておきます」
王女達と領主の面会が終わった後には、残る仲間と商人アナトマが待つ部屋に王女達と戻る。
「ジェロマンさん、本当にお世話になりました」
と丁寧に頭を下げるモーネの姿と口調に、領主への言葉遣いが虚勢であることを再認識する。
「いえ、とんでもありません。ご無事にお連れできて幸いです」
「王都から急いで逃げ出したので、お礼を十分にすることができませんが、こちらがジェロ様、こちらがお仲間の皆様へ」
魔法の収納袋からおそらく貨幣袋と思われるものを2つ出される。見るからにイド達6人用に比べてジェロ用が1人分に思えないほどの膨らみである。
「私にはそんなに頂けません。他の皆と均等にお願いします」
「いえ、ジェロさんの魔法に助けられたところが多分にありますので、感謝の印です。どうぞお納めください」
王族相手にどこまで逆らって良いものかもわからず、困っていると
「ジェロさん、貰ってください。我々のことは気にせずに」
とイド達から声がかかる。ジェロは腹を括って
「わかりました。はい、ありがとうございます」
とふたつの袋を王女から受け取る。
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