第140話 モージャン領主館
「お待たせしました。領主様がお会いします」
ラーフェン王国の4人が案内人に従って出ていくのを見送りながら、これで楽になると思ったジェロ。
「ジェロマン、何をしている。早く来い」
「え!?」
騎士に言われて驚いて周りを見るが、イド達からも肩をすくめられて、どうぞという手振りをされる。本当にするわけには行かないが気持ち的には肩を落としてかなりな猫背のつもりで、仕方なく4人の後をついて行く。刀はイドに預けることになったが、
『あらあら。まぁ昔からみたいに、肩あたりについて行ってあげるわよ』
と、ジェロだけに見えるようにヴァルが姿を現してくれる。
「こちらになります」
案内人が王女達に言った後、部屋の中に向かって声をかける。
「領主様、お客さまをお連れしました」
すると、中から別の従業員が扉を開ける。王女達が進む後ろでジェロも部屋に入る。
「やはり……モージャンの領主で子爵のルベリート・バンジル・モージャンでございます」
と領主が頭を下げて、王女達に上座へ進むように案内する。
ラーフェン王国の4人が黙って移動するのを見て、ジェロは領主に近い側で、いかにも控えています、という場所に移動する。
「うむ。モーネ・ラーフェンである。こちらはヒルデリン・ラーフェン。後ろ2人は騎士のオスヴィンとアントマーである」
「は、モージャンへようこそいらしてくださいました。ラーフェン王都のことなどはニースコンの領主からの早馬で存じております。どうぞこの街、この館でしばらくお休みくださいませ」
「うむ。厄介になる」
「早馬の知らせでは昨夕に到着と思っていたのですが」
「帝国兵の追手があり、その対処のためにな。そう、立入禁止とあったオークの出るダンジョンを使わせて貰った」
「な!」
王女達4人の目線に従い、領主の目線もジェロに集まる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます