第130話 ニースコンからの護衛出発

翌朝、領主館にてジェロ達は護衛対象の王女達と合流した。

「事前にご説明済みと伺っておりますが、殿下達にはこちらの馬車に乗って頂きます。お召し頂きましたように、我々は商隊を護衛する冒険者という体でモージャンまで参ります」

“ジェロ班”の頭脳である冷静なレナルマンが代表して対応している。王女と王子は商家、騎士二人はその使用人、冒険者はそのまま護衛とするために、騎士達にも目立つ鎧から通常の衣服に変えて貰っている。

商人が乗る馬車に王女と王子と騎士が1人、その御者はもう1人の騎士。商人を装うための荷馬車がもう1台で、その御者はジェロと弓士のエヴラウル。他の5人はそれぞれ騎乗し、先頭は斥候で短剣使いのリスチーヌと、片手剣と盾使いのレナルマン。後詰は片手剣と大盾のイジドリックと、片手剣と短剣のジョジョゼ。商人馬車の近くには両手剣のコンスタンという配置である。

最初の顔合わせの際にお互いに自己紹介をしたのだが、王女は覚える素振りをせず、騎士2人、オスヴィンとアントマーだけが戦闘連携を考慮してかそれぞれの得物まで念入りに確認していた。


王女と王子の食事などお世話するのは女性2人、リスチーヌとジョジョゼが指名されたので、休憩時には騎士2人が他の冒険者達と会話する機会が自然と増える。

「昨夜に帝国兵を撃退したと聞いたのだが」

「はい、数十人が押し寄せて来ていましたね。ラーフェン王国の皆様を差し出せと」

「エヴラウルがジェロさんと一緒に城門の上に行ったよな?」

「ええ、ジェロさんの強力な火魔法で殲滅されていましたよ」

ジェロが不慣れな人への対応を苦手にしていることも分かっている冒険者達が、ジェロと離れたところで会話しているのだが、その殲滅の話をジェロが嫌がるのも分かっていて小声で返事をしている。

「銀級冒険者というのはそこまで凄まじいものなのか?」

「まぁジェロさんが特別なんでしょうね。同じ魔法でも威力が違うと他の魔法使いが嘆いていましたから」

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