第131話 ニースコンからの護衛

ニースコンからモージャンへの護衛の初日は、魔物や盗賊だけでなくムスターデ帝国の追手も無く無事に予定行程をこなす。

『やっぱり帝国兵を逃さなくて良かったわね』

『あぁ、そうだな……』

『まだ気にしているの?』

『まぁ少しは腹をくくったが簡単に慣れたくない気持ちもあるからな』


野営において王女と王子の寝る商人用馬車の入口には、騎士か女性冒険者の4人の誰かが交代で立つことにして、それ以外は火の番を含めた見張りを順次交代で実施する。

騎士オスヴィンが見張り番の際に、一緒の当番であったレナルマンが気になっていたことを確認する。

「王都が落ちて御二方が逃げられたということですが、国王が亡くなったのは本当なのですか?」

「あぁ、我々の目の前で氷の槍に貫かれて。頭に2本の角がある奴が犯人だ」

「(それってモージャンのオークダンジョンの最奥にいた魔人?) そいつは1人だったんですか?」

「いや、王都内に内通者か潜入者か分からないがそれなりの数のムスターデ帝国側の者が居た。なので団長のご命令で、我々は御二方を連れて逃げ出すしか無かったのだ」

「オスヴィン様とアントマー様のお二人で、ですか?すごいですね」

「いや、他に数人の若手が居たが、ニースコンの街に到着するまでに脱落していった……」

「(話題を変えないと) 王女様って成人されたぐらいだと思うのですが、しっかりされていますね」

「そうだろう!まだ16歳なのだが、誰にもお優しい方で我々国民に大人気なのだ」

「(お優しい?) 王子様を大事にされているようですね」

「あぁ、王子様のために無理をされているのが痛ましい。元々はあのような態度をされる方では無いのだ。おそらく国王陛下、王太子殿下の真似をされようとしているのだろう」

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