第128話 ニースコン防衛2
ニースコンでもラーフェン王国方面の城門の上に登ったジェロ。外側を見下ろすと数十人の兵士達が見える。揃いの鎧を着ており、周りの者たちの反応を見るとムスターデ帝国軍と思われる。
『勢いで上がって来てしまったけれど、軍人を相手にするなんて。前の盗賊でもいっぱいいっぱいだったのに』
『弓矢も少なそうだし、こちらから一方的に攻撃したら良いじゃない。人の魂が貰える機会は嬉しいわ』
『いや待って。俺は、この戦争はどこに正義があるかも分かっていない。積極的に人への攻撃をしたくない』
『あらまぁ。でも、王族の護衛は受けるのよね』
『こちらから積極的に攻めるわけではないし、命を守る側だからね』
ジェロがヴァルと念話している間にも、攻め寄せた軍勢とニースコンの守備隊らしき人物との間でやり取りがされていた。要約すると
「ムスターデ帝国としてはコンヴィル王国やニースコンの街に攻め入るつもりは無いが、あくまでも逃げ込んだラーフェン王国の者達を差し出した場合だけだ」
「この街にそんな者が来たかは知らん。だが城門の中にいる限り守る。無理に奪おうとするならば応戦もやむなし」
「こんなちっぽけな街の守備隊風情が。力で押し通るぞ」
「やれるものならやってみろ」
というやり取りであった。
帝国兵の大斧や大剣を持つ者は木製の門扉に切り掛かり、弓矢を持つ者は城門上のジェロ達に矢を放ち始めた。
「うわぁ!」
『降りかかる火の粉は払うしか無いわよ』
『……仕方ない。ヴァル、やるぞ!』
味方からも弓矢の応酬、そして幾らかの詠唱や魔法陣を使用した攻撃魔法の横で、ジェロはヴァルと一緒に上級火魔法を無詠唱で魔法陣の使用も無いまま乱発する。門扉を攻撃している者達へは門に類焼しないよう≪火槍≫で攻撃を中断させ、その背後で控えている、もしくは矢を放ってくる者達の周囲には≪火壁≫を発動して戦意を失うことを期待する。
『盗賊達とは違うわよ』
ヴァルの指摘のように攻撃の手を止めない帝国兵に、仕方なく≪豪炎≫≪火槍≫を当て戦闘不能にしていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます