「それで、先ほどの狼煙は何か分かったか？」

「はい、領主様。最初は王都に異変、次は国境に異変というラーフェン王国の狼煙とのことです」

「まさか！いや、万が一のことがある。急ぎモージャンの街、そして王都へ急使を立てろ。もちろんラーフェン王国への確認も怠るな。そして、国境の警備を固めるぞ！このニースコンの街の防衛を優先だ。もし誤報だったら笑い事にしろ」

「かしこまりました！」

領主の指示に従い、冒険者ギルドにもラーフェン王国の狼煙と防衛準備の話が来る。

「ということです、メオンさん、ジェロさん。しばらくは冒険者達には遠出はさせず、すぐに街内に戻れる範囲の依頼だけお願いすることになります」

「この街まで敵兵が来る可能性もあるということでしょうか」

「国境の街ですので可能性への対処が必要ということです。ただ個人的には、一国をそんな簡単に落とすことも、その落とした国の後処理も無いままその先にある国まで攻め入ったりすることもあるかは疑問ですが」

ギルドマスターのアンセルムからギルド職員達へ説明があり、冒険者達にも過剰反応はしないように注意喚起しながら伝えられていく。

「メオンさん、我々はどうすれば良いのでしょうか」

「現段階ではあくまでも事務職員としての業務を継続するだけだな。本当に危険が迫った時には、前線ではなく後方の街への応援として冒険者募集をした立場上、彼らに丁寧な説明をして一緒に残るかガニーへ帰還するか決める必要があるな。まずは情報の確度向上を待つしかないがな」

再び領主館。

「そうか、まさかと思っていたがラーフェン王国は落ちたか」

「はい、確かな情報のようです」

「モージャン、王都、そしてこのニースコンのそれぞれに追加情報を提供して、更なる対応を。それにしても今回なぜそんな簡単に……」

「最近、目について来ていたラーフェン王国のつけ上がりが関係しているかもしれないですね」

「滅多なことを言うな。たとえ落ちたとはいえ友好国だぞ。しかし可能性はあるな。かなり油断していたようだし」

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい