第122話 ラーフェン王都3

「団長、大丈夫ですか!?」

何人かの騎士団員が騎士団長ルネリエルの側に駆け寄ってくる。

「こいつは何ですか?角が生えている!?」

「国王陛下や大臣達に魔法を放ったのはこいつですか?」

「おやおや、君たちの団長がいじめられているのを助けただけだろう?」

「何だと!?」

「建国して3代目になるとこんな腐った奴らが国のトップというのだからな。まともな王弟の騎士団長を国王にすげ替えて属国にするのがムスターデ帝国の希望であったが、その王弟は賛同をしないのだ。馬鹿正直だから。ま、その方が泥沼戦闘になり死人が増えて魂が多く得られるから俺的には良いのだがな」

「何を言っているんだ、こいつは!」

団員が理解できずに当然の疑問を持つが、それよりもルネリエルは気になることがある。

「そんなことより、今の火魔法の合図はなんだ!?」

「何って、この王都に潜んでいた者達への合図だよ。想像つくだろう?」

魔人の言葉と同時に王城のあちこちでも喚声や剣戟の音が聞こえてくる。練兵場の端にも敵兵や裏切者らしき者が侵入してくる。

「まずい!オスヴィン、アントマー」

「「はい、こちらに」」

「もうこの王都は持たないだろう。若いお前達は他の若手を連れて、第2王子殿下、王女殿下をコンヴィル王国へお連れするのだ!」

「そんな!団長達は!?」

「少しでもこいつらを足止めしておく」

「一緒に逃げましょう!」

「いや、これでも兄だった男を守れなかった情けない弟だ。せめて最後まで亡骸を守らせてくれ」

「「団長!」」

「振り向くな、行くぞ!」

騎士団でも若手らしき者達が団長の元を離れ、喧騒の王城の中を駆けて行く。

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