第121話 ラーフェン王都2

理不尽で傲慢な国王に従い、援軍の準備場所へ向かう騎士団長や大臣達。

「ん、彼らは何をしている?」

「練兵です。集団戦闘の練習です」

「なぜ出発準備をしていない?」

「この人数が応援に駆けつけると直ぐに食糧不足になりますので、自分達の食いぶちを持参するよう兵站の準備中です」

「王城には当然兵糧ぐらいあるだろう?」

内務大臣が備蓄をせず横流しをしているという噂を聞いている騎士団長は内務大臣の方を向くが大臣は答えない。

「なぜ答えない、内務大臣」

「待てルネリエル、お前が悪い!」

「なぜ!?」

内務大臣を問い詰める騎士団長を国王は責める。横流しで蓄財したお金を賄賂にしているという噂まであった。さらにその大臣ポストすら賄賂で買ったと。

「まさか兄上!」

「兄と呼ぶな、ルネリエル!国王陛下だ!」

「は、申し訳ありません、陛下……」

国王を含めた重臣が訪れていることに気づいた兵士達が列を正して閲兵に備えようとしていたところである。そこへ、跪いて謝罪した団長を国王が足蹴にした。

「団長!」


そのとき、氷の槍が飛んできて国王の胸を突き刺す。鎧も着られないほど太った体格であり、豪華な服だけなのでおそらく即死である。

「陛下!」

団長や大臣が駆け寄ろうとするなか、次々と大臣達も氷の槍で殺されていく。


「だから言っただろう?こんな奴ら、居ない方が良いと」

頭の左右に角を生やした男が現れていう。

「それでも私はこの国に尽くす。建国したお爺様のためにも!」

騎士団長が立ち上がり魔人に剣を振るおうとするも、氷の壁が邪魔をする。さらに、その魔人が空に向けて≪火球≫を打ち上げる。

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