第120話 ラーフェン王都

ムスターデ帝国への国境付近で騒動が起きる少し前のラーフェン王城。


「まだ戦線が開かれたという報せは無いのか?」

「はい。ムスターデは何を考えているのか」

「おい、あの狼煙は何だ!?」

「はぁ?王都に異変だと!何て狼煙をあげてやがる!」

慌てて狼煙台に向かうも、おそらく当番だったと思われる者の死体が転がっており、狼煙をあげた者は既に見当たらない。

「くそ、スパイか!誤りだと取り消しの印をすぐにあげないと!」

あたりを気にする余裕も無く、取り消し狼煙をあげようと準備をする者へ忍び寄る影。


「おい、いつまで取り消しがあがらないのだ!伝播して行ってしまうではないか」

「はい、人を送っているのですが。再度向かわせます」


「まだ取り消し狼煙があがらない。様子がおかしい。おい、狼煙台に兵たちを向かわせろ!」

「は!」


「何だと、あれは。おい、あちらの狼煙は国境に異変だと!すぐに騎士団長に報告しろ!」



「陛下、国境に異変との狼煙があがっております!」

「何だと!オンハルトは大丈夫なのか?」

「まだわかりません。誤報の可能性もありますが、念のために確認の急使を出しました」

「いや、待っておられん。王都からの援軍の準備状況はどうだ?直ぐに出発するぞ!」

「陛下、状況確認をしてからでないと、危険です!」

「うるさい、団長のお前が便りないから王太子が迎撃に行ったのであろうが!」

「そんな……。援軍も多い今回は王太子に手柄を取らせろと仰ったのでは……」

「何か言ったか?」

「いえ……」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る