第119話 ラーフェン国境
「オンハルト王太子殿下、そこは危のうございます。早くこちらへ」
「ふん、危ないものか。ムスターデ帝国の奴らめ、何を考えている。攻め込むそぶりで兵士を国境に集めておきながら動かないとは」
「お陰でこちらは撃退準備がしっかりできております。国中からの国軍の応援部隊だけでなく、コンヴィル王国からも含めた冒険者部隊が今まで以上に集まっております」
「あぁ、今回こそムスターデの奴らを殲滅して2度と我がラーフェン王国へ攻め入る気などおきなくさせてやる」
「その意気ではありますが、万が一流れ矢にでも当たれば一大事にござります。どうぞこちらへ」
「ふん」
展望台から下に降りようとしたところで、国境と反対側に立ち上がる狼煙に気づく。
「おい、あれは何だ?王都に何かあった印では無いか?」
「はい、あの赤みがかった色は王都に異変の印。あそこまで途切れ途切れというのはかなりな事態かと」
「すぐに確認の急使を送れ!」
「は!」
「王都が陥落したらしいぞ!逃げろ!」
「何だと!やばい、ここも危ないな」
下に降りると既に混乱した兵士たちが右往左往している。
「待て、その情報は誰がもたらした?デマに決まっているだろう!間諜、スパイだ!」
「は!お前達、虚報に踊らされるな!」
「そんなこと言って、自分たちだけ逃げる気だろう?あいつが王太子だ。あいつを土産にすれば俺たちの命も助かるんじゃないのか?」
「あぁ、逆に手柄だな!」
装備がバラバラの冒険者風の男達が王太子に向かって来るところで、城門の方からも叫び声が聞こえる。
「敵襲だ!帝国が襲って来たぞ!」
「待て!逃げるな、応戦しろ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます