第124話 ニースコン領主館への呼び出し

「メオンさん、ジェロさん、極秘で領主館に行って欲しいのです」

追加連絡が来てますますニースコンの防衛準備が進められたある日、ギルドマスターのアンセルムに呼び出された2人はこう言われる。

「どう言うことですか?」

「我々にも理由は言われていません。単に腕の立つギルド職員を連れてくるように、と。単純にはジェロさんが候補になりますが、ジェロさんの性格を踏まえるとメオンさんと一緒が良いかと。私と一緒に3人で行って貰えませんか?」

「貴族様ですよね……?」

「はい、ここの領主様は男爵です」

「断れない……のですね。メオンさん、どうか一緒にお願いします」

言いかけてアンセルムの表情を確認して理解したので、メオンにすがる。

「まぁ他の街の貴族のところへ部下だけ行かせるわけにも。それにこのタイミングでの呼び出し。とても悪い予感がしますので」



「それで、そこの3人の誰なんですか?男爵殿」

「はぁ、一番右はここの冒険者ギルドマスターのアンセルムと申す者です。アンセルム、2人の紹介を頼む」

初めて入る領主館、そこの大広間で上座に向けて不慣れながらに跪いていたジェロ達3人へ、誰かが入室してきた気配の後にいきなりの言葉である。声や流れからは若い女性と、領主ということしか分からない。

「はい、領主様。こちら2人はガニーの冒険者ギルドから応援のギルド職員。手前からメオン、ジェロマンと申します」

「で?」

「アンセルム、戦闘力が高いのはどちらだ?」

「はい、ジェロマンがBランク、銀級冒険者でもあるギルド職員になります」

少し間が開いた後、

「下がって良い」

と男爵と思われる男性の声で頭を下げながら部屋を出る。結局、顔を上げることはなかったので入室者の顔も分からないままであった。

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