第115話 ゴースト討伐

「ジェロさん、魔物討伐にご一緒するのは久しぶりですね。オークダンジョン騒動のとき以来ですから」

「いえ、私は事務職員……」

「またまた。先日の盗賊のときにも、あの時以上の火の壁を使われていたじゃないですか」

ニースコンの街から、ゴーストが目撃された廃村に向かう馬車の中でリスチーヌやイド達に囲まれるジェロ。


「神殿から聖水を購入して来てくださったのもありがとうございます」

「いえ、ギルド職員として……」

「ゴースト相手なので、ジェロさんのお手を煩わせることないつもりですので、安心して見ていてくださいね。念のためという名目でご一緒したかっただけですから」

「そんな……」

ある程度慣れた相手であり、自分を評価してくれていることがわかっている6人ではあるが、装備を固めた中堅冒険者に囲まれるとどうしても落ち着かない。


廃村には予定通り夕方に到着し、ゴーストが出現すると言われる夜になるまで早めの夕食をとって体を休ませておく。夜になると、灯で必要以上に呼び寄せる懸念があったので光魔法の≪灯り≫や松明などは使用せず、闇魔法≪夜目≫を全員に発動しておく。

「じゃあそろそろ行こうか。ジェロさんは念のために真ん中に居てくださいね」

リーダーのイドが仕切った6人に囲まれて廃村の中に足を踏み入れていく。

『ジェロ、あっち』

「皆さん、あちらに」

ヴァルに教わりながら怪しい気配のする家屋に入り、1〜2匹の少数のゴーストと戦闘になるが、6人が≪剛撃≫≪連撃≫などの武技も駆使するのでそれなりに安全に退治できている。

「やはりジェロさんはすごいですね。斥候として自信を失います」

リスチーヌに言われてしまうが、魔法使いだから魔力を何となく感じるだけと返しておく。

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