第114話 ゴースト討伐準備

ニースコンでのある程度の危険までの平穏な生活の終わりを告げられる。

「ジェロ、魔物討伐に行ってきて欲しい」

メオンからの指示である。どうもアンデッド、しかもCランクのゴーストが複数目撃されたらしい。厳密にはラーフェン王国側になる地域の廃村らしいが、ラーフェン王国側ギルドでは対処ができないのでこちらに話が来たとのこと。アンデッドを放置しているとどんな広がりをしてコンヴィル王国側にも悪影響を及ぼすかもという懸念もある。

“ジェロ班”であるガニーから来た中堅6人の冒険者達に依頼したところ、今このニースコンで唯一の戦力になりえる魔法使いであるジェロの同行を条件にされたと言う。

「そうは言っても、私は事務職員ですよ……」

「いや、戦闘能力もある事務職員だからな。それにアンデッド相手に魔法使いが欲しいのは分かる。あいつらも武技が使えるのでゴーストにもダメージは与えられるのだが、念のためにな」

「確かにゴーストには通常武器の通常攻撃が通じないと言いますよね。魔法や魔剣以外に、武技による攻撃なら大丈夫とか。もちろん試したことは無いですが、そうなんですよね?」

「あぁ、俺も実際に戦ったことはないがそう言われているな」


拒否権が無いことは理解していたので、神殿に向かい司祭ヴァレールにアンデッドに効果があると言われる聖水の購入相談をする。

「アンデッド討伐ですか。お気をつけてください。はい、聖水はもちろんご用意していますので、冒険者ギルドへの納品は可能です。ただこれは≪浄化≫魔法のポーションのようなものであり、魔法回復薬を作成するときの魔力操作のように、水に≪浄化≫魔法を付与したものです。ぜひ≪浄化≫魔法も習得してください」

「いや、そんな……」

「ジェロさんはローランスからの紹介状以上の方です。ぜひ」

正直ありがたい話であり、神殿の魔導書を見ることは古代魔術語も記載しているかもとの期待もある。ただ残念ながらガニーの神殿の魔導書と違い、この≪浄化≫魔導書は現代魔術語だけであったが、それでも未習得魔法には興味がある。

よく見ると習得済みの回復魔法の文字と共通する部分が多く、回復魔法の一種なのかと理解する。

アンデッドに効果がある浄化という営みは前世の理系知識で何とかなると思えなかったが、そもそも死んで生命活動を停止しているものなので回復という行為が逆にダメージになるということだけイメージして習得する。

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