巨蜘蛛に遭遇するのは幸いその1回だけですみ、無事に薬草も採取して街に戻る。冒険者ギルドで薬草とあわせて魔石を提示すると、やはり魔物の間引きが少ないのか、Dランク鉄級ならまだしもEランク木級冒険者に薬草採取はしばらく行かせられないということになった。

結果、何度もジェロが採取に派遣されることになり、傷回復の薬草だけでなく魔力回復の薬草も取りに行く。多めに採取できた薬草の一部をギルドの指示のもとで神殿にも持参する。

「ジェロさん、助かります。これで神殿でも不足している回復薬を作成できます。そういえばジェロさんも作成できるそうですよね」

「はぁ、まだ低級品までですが」

司祭ヴァレールに強引に回復薬の調合場所に連れて行かれ、まずやってみることになってしまった。

先日フロラリーに久しぶりに手本を見せて貰い、どれだけ不純物を取り除くかと丁寧に工程を行うことを念押しされたことを思い出し、≪水生成≫の純水でしっかり洗った上で効果の少なそうな部位を丁寧に切り除いて、≪水生成≫の水に溶解して作成する。完成品を≪簡易鑑定≫してみると中級下位であった。

「ジェロさん、低級とおっしゃいましたが、中級品ですよね。調合に≪水生成≫を使える人は少ないでしょう。流石です。もし可能であるならば、この神殿でこの中級品を取り扱いさせて頂きたいです」

「素材は神殿の物ですからもちろん結構ですよ」

「ありがとうございます！ではぜひご一緒に調合をさせてください。先ほどのナイフで取り除くところですが、ココをさらにこうやって削除するとさらに効果が上がると思います」

ヴァレールに細かいコツを次々と教わり、≪水生成≫は使うものの中級中位の回復薬が調合できるようになった。最初は傷回復薬だけであったが、魔力回復薬の薬草の処理についても教わり、そのまま魔力操作でポーションの製作まで行う。

『≪洗浄≫も使ったら、多分さらに品質が上がるわよね』

『司祭様の前で、悪魔に魔法を使わせるわけに行かないよ……』

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