第111話 ニースコン事務業務の開始2

回復薬の不足について、神殿や商会からの仕入れの話も確認するが、素材も不足しているとのこと。

「実は、中堅以上の冒険者の多くが派遣されていったので、魔物の間引きが少なくなり、薬草採取などの低ランク冒険者が採取場所に行くのが危険になっておりまして」

ガニーからの応援者は中堅なので魔物狩りにも行って貰っており、薬草採取の護衛を頼むわけにはいかないが、魔物の間引きも万全と言えるようになるには時間がかかりそうである。

神殿のヴァレールからも同様の素材不足の話があり、一般生活での怪我へ対応し切れていないらしい。


メオンと共にニースコンの職員達と相談し、昔とった杵柄でジェロが薬草採取に行くことになった。ジェロの性格的に低ランクといえ他の冒険者達と一緒に行動をするのは、何かあったときに連携不足によるミスも怖いので単独での採取行動である。

ニースコンの職員に教えて貰った場所は、街から徒歩1時間ほどの場所で、森の中であった。その森の奥ではDランクの巨蜂ジャイアントビー、巨蜘蛛ジャイアントスパイダーが今まで発見されているらしいので、遭遇する可能性はこの2種類が高いとのこと。

『確かにこれじゃ魔物が出てくる懸念があるな』

『久しぶりの採取ね。魔物が出たら私が始末したら良いの?』

『まぁ助かるけれど誰かの目につくと困るから、まずは教えてくれるだけで』


『えー、あんな気持ち悪いの!?』

ジェロは巨蜘蛛の実物が想像以上に嫌悪感を覚えるものであることに驚く。

『まぁ1匹だけだし、この前の≪氷結≫の実践練習に頑張って』

ヴァルに後押しされ自分で発動して対戦するも、思ったより素早く逃げられそうになった蜘蛛の後ろ足だけが≪氷結≫で凍った後は、他の足から順次胴体まで凍らせて行き、額(ひたい)と思われる場所に≪氷刃≫を発動させて仕留める。腹部側は凍っているので背中側から心臓付近の魔石をヴァルの日本刀で取り出すが、その日本刀を付近の植物で拭った後に発動した≪水球≫に何度も切り付けて気持ち的な洗浄をしておいた。

『あら、ありがとうね。でも≪洗浄≫って魔法があるから、今度覚えておいてね』

とヴァルが自ら初級水魔法≪洗浄≫を日本刀にかけたことで、持ち手など他の部分の汚れも落ちたようである。

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