第110話 ニースコン事務業務の開始

到着当日、挨拶や到着処理の後、すでに夕方であったが少しだけ時間があったので、ジェロは神殿の場所を教えて貰い挨拶に向かう。

ただ、このニースコンの街はモージャンの街ほどは大きくはないが、神殿は複数あったようで、豊穣の女神デメテルと指定する必要があった。ガニーの街は大きくないので、まともな大きさの神殿はデメテル神の神殿のみであり、そこに他の神々の祠も併設されていた。


「私が司祭のヴァレールですが、あなたは?」

「ガニーの街から来ましたジェロマンと申します。ガニーの司祭ローランス様のご紹介でお伺いしました。こちらがお手紙になります」

手紙を確認したヴァレールは、先ほど以上に良い笑顔になって話を続ける。

「そうですか、ローランスの。はい、彼は私の友人です。単なる同じデメテル様を崇める司祭同士という以上の付き合いになります。ガニーの冒険者達を引率して応援にいらしたと。ご滞在の間は、ぜひ遠慮なくこちらにも足をお運びくださいね」

「ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします」

ここでも隣に孤児院が併設されているのを見て、今度からはお土産があった方が良いなと考えるジェロであった。


翌日から早速、応援の冒険者達は少し溜まりがちであった依頼を順番に受領して出発していく。ジェロはメオンと共に、こちらも減って困っているという職員の手伝いとして、鑑定業務や会計業務など事務業務を手伝う。

ここでも受付嬢は美人のしっかり者が多いようで、ジェロはなかなか慣れずに出来るだけ奥に籠れる事務処理に注力している。メオンが早々にニースコンの職員達にジェロの性格について説明をしていたので、特に問題にはならずに済んでいる。

逆に、たまに怪我した冒険者が帰って来た際に、目立たないよう周りに見えない応接室で回復魔法も行なっていると、少しは頼りにされるようになったようである。

「やはり戦争ということで、回復能力がある者は可能な限りラーフェン王国に行きましたので、助かります」

それに、回復魔法の使い手だけでなく回復薬も大量にラーフェンへ持参していったようで、回復薬を消費しないことが余計に助かるらしい。

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