第109話 ニースコン到着

モージャンで連絡をとるほどの知り合いは他には、オークから助けた商人アナトマ父娘ぐらいであったが、挨拶に向かう程の常識的時間帯では無かったのでまた機会があればと割り切る。というより、冒険者ギルドで≪氷結≫の魔法カードが購入できただけで、十分と思っているジェロであった。


モージャンからニースコンへの道中2日間は冒険者達から絡まれることもなく、魔物や盗賊とも遭遇せずに到着する。

『モージャンでしっかりお酒を飲んだのかな』

とジェロは思っていた。しかし実態は、盗賊捕縛の際の火魔法を見た冒険者達がリスチーヌ達“ジェロ班”に「分かったな」と目で合図されていたのであった。メオンとジェロが冒険者ギルドでアンブリスに会っていた際にも、酒場で「分かったか?」「良く分かった」というやりとりがあったのをジェロは知らない。


ニースコンの冒険者ギルドに到着し、連れて来た冒険者15人の手続きだけでなく、持参した食料や武器などの引き渡しを行なっていると、セドリユスが出てくる。

モージャンの魔物騒動の時にニースコンから冒険者を率いて来ていた、各街ギルドの代表者会議の参加者であった。もちろんジェロは同席していただけなのでメオンが挨拶を交わす。

「過去にないガニーからの応援、大変助かります。どうも今回は嫌な予感がしていまして」

「我々冒険者やそれに関係するメンバとして、その第六感は非常に重要と認識しています。気をつけることにします」

その後、ギルドマスターのアンセルムにもメオンとジェロは挨拶をして到着処理を進める。


現地の冒険者ギルドの紹介で、ガニーからの冒険者と職員いずれもが冒険者ギルドのすぐ近くの宿にお得な料金で泊まれることになった。ガニーギルドの経費になるので、あのマスターの決裁にうるさく言われずに済むのもありがたい。1階には酒も含めた飲食ができる食堂も併設されており長期滞在でも何とかなりそうである。

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