第107話 道中のモージャン

モージャンの街に入る際に衛兵に、盗賊襲来のことを伝えて装備を取り上げた後の盗賊9人を引き渡す。取り上げた装備品はニースコンへの持参品に追加する。

盗賊9人は犯罪奴隷となるのでその売却益は別途冒険者ギルドに渡されることになった。街にある拠点も確認していたことを報告したので、衛兵による確認後に拠点にある物品と拠点そのものが衛兵にて没収、売却される分もギルドに対して上乗せされる。


前世記憶では、昔に存在したような奴隷は居なくなった認識であった。ブラックな企業の従業員が実質的に奴隷のようであると言われることはあったが。今世でも一応孤児院の制度があったおかげで借金奴隷になることもなかった。

この世界での奴隷は、犯罪奴隷、借金奴隷、戦争奴隷がいる。盗賊など死罪にしても良い犯罪者を奴隷にして、鉱山など危険な作業に従事させることができるのが犯罪奴隷。借金が返せなくなった場合に拘束するもので、返済までの期間限定であり性的なことや生命に危険があることは命令できないのが借金奴隷。戦争で捕虜になったが身代金を払えない場合になり、命令できる範囲が犯罪奴隷と借金奴隷の中間のものが戦争奴隷。

『奴隷に興味あるの?』

『奴隷というよりそれを実現している契約魔法かな。特に命に関わることまで支配できるのは強力だよね』

『まぁね。従魔もそうだけどね』

『なるほど、契約魔法として同系統なのか』


衛兵に盗賊を引き渡して宿屋で冒険者達を解散した後、メオンと2人で冒険者ギルドに向かう。

「おう、メオンとジェロ。元気だったか」

「アンブリスさんもお元気そうで」

ガニーのギルドマスターからモージャンのギルドマスターになったアンブリスへの挨拶である。

「あれからはこの街も魔人の気配や魔物の異常さもなく通常通りになった。ダンジョンも特に問題は起きていない。今回の戦争で冒険者達があちらに行って減るから、何事も無くて助かっている。お前達のおかげだな」

「このタイミングということで、まさか魔人の後ろに帝国が居るなんてことはないですよね」

「まさかな……」

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