第106話 盗賊襲来
「みんな起きろ!襲撃だ!」
「何?本当にオークでも残っていたのか?だがしょせんはDランク魔物だろうが」
ぼんやり目を覚ますぐらいなんだかんだ気の緩んだ者が何人も居たが、剣戟の音を聞くと自身の得物を手に飛び出す。
「盗賊だ!オークじゃないぞ!気をつけろ!」
冒険者達から追加の声が上がっていく。一方、盗賊側からも驚きの声があがる。
「なんだこいつら、単なる商隊じゃないみたいだぞ。護衛が多すぎる!」
『あらあら、商人に思われたのね』
『オークなんかよりやばいじゃないか』
人型魔物のオークやゴブリンには慣れたものの、人間との模擬ではない本当の戦闘には腰が引けてしまうジェロ。
『大丈夫よ、ほらそこに≪炎壁≫を。はい、次はあちら』
ジェロはヴァルの指示通りに盗賊と馬車の間に次々≪炎壁≫を発動する。
「なんだコイツら。こんな魔法使いがいるなんて!」
どうもそこまでの火魔法を見たことが無いらしい盗賊達は腰が引けて、剣を交わしていた者達も後退りして逃げようとするが、退路も冒険者達や≪炎壁≫で防がれる。
「降伏すれば命までは取らない!」
メオンの声に従い武器を手放す盗賊達。
結果、3人は既に冒険者の返り討ちにあい死亡していたが、戦闘不能になっていた怪我人も含めて9人が捕縛された。冒険者側の軽傷を治療した後はその縛り上げた盗賊達を死なないように治療するジェロ。死亡した盗賊3人の魂については、少し間が空いたところでヴァルから回収可否の確認があったので許可してある。
武装解除され縛られた盗賊に軽い尋問をメオンがすると、前の魔物騒動の際に“商売”にならないので街の拠点に潜んでいたが生活資金も尽きて“商売”を再開したところらしい。そのためきちんと下調べもしないまま襲って失敗したと。
死体3人分からは装備など必要物品を取り上げて、街道から離れた森に埋める。捕縛の9人は馬車に詰め込んで最低限の食事などを与えながらモージャンまで運ぶことにした。
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