第105話 ニースコンへ出発2
食糧も十分に運んでいて野営などでの食事の心配は無いので、余計に冒険者達は暇な道中に気が抜けている。ガニーを朝に出たので、昼の食事休憩の際に声があがる。
「なぁ職員さん達よぅ、道中の酒は無いのか?暇だろう?」
ジェロにするとまだ慣れていない冒険者達が半数以上いるので、彼らの粗暴な態度が怖い。メオンが前回のように前に出ておさめようとしたところで、先にジェロ班リーダーのイドから声があがる。
「お前たち聞いていないのか?このお二人のこと。モージャンの魔物騒動を解決した中心人物と」
「何となくは聞いたが、しょせんは事務職員だろう?腕っぷしで俺たちが負けるわけがない」
「中途半端な話を聞いたようだな。俺たち数人が戦っても敵わない相手を倒せるのがこのジェロさんだぞ」
「職員相手におべんちゃら、点数稼ぎなんて、冒険者としてカッコ悪いぞ」
「何だと!」
危険な雰囲気になったところでメオンが割り込む。
「俺たちガニーのギルド職員の戦闘能力をどう思ってくれても良いが、少なくとも応援に行くニースコンで問題を起こして迷惑をかけるようであれば、評価も下げて送り返す。良いな!」
特に酒を要求していた方の冒険者は不満そうな顔をしながら、一応黙って座る。
その嫌な空気のままで午後の移動をした後、夕食の際にまた一杯ずつだけの酒を配る。
「以前の魔物の残党がいる可能性もある。酔い潰れるまでの酒は出せないが、これで我慢してくれ。明晩はモージャンの街だ。もう少しは飲めるぞ」
「まぁしょうがねぇか」
昼に揉め事を起こそうとしていた者も矛を収める素振りを示す。
「さっきも言ったが、魔物の可能性も考えて気を抜かないよう見張り当番の者たちは頼むぞ」
「任せてください、メオンさん」
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