第103話 ニースコンへの応援2
「何が何でも自分が戦争へ応援に行くと言うかと思ったのだがな」
「はい。それに、国内の街で通常のギルド職員業務であれば、まだ良かったです」
メオンとジェロは少し安堵の息を漏らしながら自席に戻り、応援に行く冒険者募集や持参する物資の調達などの業務に気持ちを切り替える。
「じゃあ今度は戦闘しなくて帰って来られるのね」
ヤンクイユ商会へ仕入れに行ったジェロはエムに安心したと告げられる。
「そうは言っても、フロ姉のところには顔を出した方が良いよ。前のモージャンのときにも心配してくれていたから」
「わかったよ」
戦場そのものでは無いにしてもガニーより戦場の近くに行くので、回復薬の類いが不足しているかもしれない。そのため、どうせ神殿へ行く者が必要である。
「シスター・フロラリー、しばらくニースコンに行くことになりました。そのため回復薬などをお譲り頂けないかと」
ジェロとしては、努めて事務的にお願いしたつもりであるが、フロラリーは合わせてくれなかった。
「そんな、ジェロが?わかったわ。司祭様にお願いしてくる。ちょっと待って」
明らかに通常のギルド職員への対応と違う内容である。
「ジェロさん、よく来てくださいました。ニースコンに行かれるとのこと。あちらの司祭のヴァレール宛の手紙です。彼は私の友人であり、この手紙には私の妻の弟のような方、私にとっても義弟にあたる人なので便宜をはかって欲しいと書いてあります」
「そこまで……」
「もちろん、中級までの回復魔法が使えて、低級の一般回復薬、魔法回復薬まで作成できる人という売り込みもさせて頂いていますので、双方にメリットがあることかと」
「分かりました。ありがとうございます」
「そうだわ、ジェロ。もう少し時間がある?」
フロラリーに回復薬の調合場所に連れて行かれるジェロ。
「回復薬の等級、まだ低級だったわよね。でも中級や高級との違いは、いかに不純物を取り除くか、丁寧に作れるか、なのよ。魔法回復薬も基にする一般回復薬の等級に依存するわ。ちょっと見ていてね」
フロラリーが実演してくれ、昔に低級を作れるようになってから色々経験したジェロも確かに中級ぐらいならば手が届くかもと思える指導であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます