第100話 風刃魔法

風魔法の初級≪そよ風≫はイメージ通りに習得できたので、続けて≪風刃≫に取り掛かる。


異世界物語のイメージでは、無色透明な三日月型の刃が飛んでいくものが多い。事象としては“かまいたち”のようでもあるが、これは旋風で空気中に真空ができたところに皮膚が触れて気圧バランスの差で発生すると言われるので、例えば首を刈り取るようなイメージとは合わない。

それよりは高密度な空気を刃の形にして飛ばす、≪氷刃≫の時と同様のイメージのようである。ヴァルに聞いても与えるダメージの形的にそちらの方であった。


しかし、せっかく≪そよ風≫で分子の移動による空気圧の移動を習得したので、それも組み合わせて、移動方向の空気を薄く空気圧を下げた分の分子を刃に集めるイメージにすると、移動スピードも速くなる上に刃も頑丈になるので、効果が高まることが期待できる。


こちらもヴァルに見本を発動して貰った後に、詠唱をしながら発動させたところ、数回で刃の作成と移動はできた後、追加の移動方法まで組み合わせると想像以上の威力を得ることが出来た。

『やはりジェロのイメージはすごいね。魔法の発動やその効果はイメージ力が重要とは言え、ここまでとはね』

『まぁ一応理系だったからね』

『また良くわからない単語を』

『歴史や文学方面を中心に学ぶのではなく、世の事象や技術方面を中心に学ぶ系統ということだな。学問がそれぞれ深く研究されていて、全分野を網羅できないから分野を選択して学んでいたんだ』

『でも魔法、武技などが無い世界なのよね』

『そう』

『私が逆にそちらの世界に転生しなくて良かったわ』

『悪魔があの世界に転生して魔法が使えない……まぁ、考えたくないよね』

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