第83話 ガニーへ応援からの帰還

モージャンの街の周りから、以前と同様ぐらいと思えるほどにオークやゴブリンを掃討でき、なかなか魔物にも遭遇しないため狩りの効率が下がって来たあたりで、各街からの応援部隊も引き上げ始める。

もちろんガニーの街からのジェロ達も同様である。


「我々もガニーの街に戻る。明朝、馬車で出発するので準備するように。お土産を買い忘れるなよ」

「あげる人が居ないよー」

「じゃあ、あげてキッカケにするのはどうだ?」

「そりゃいいや」

最後の宿屋での夕食時、酒も振る舞われて陽気な気配である。

ジェロはオークから助けた商人アナトマ親子にガニーに戻る旨を伝えつつ、神殿などへのお土産を購入してある。


また2日間の暇な馬車とは思っていたが、冒険者同士も今まで以上に密な交流をしたからか、戦闘続きの出張からの帰宅で気が緩んだのか、雑談も多く陽気な行程であった。今まで裏方で縁も少なかったジェロも、今回の遠征で冒険者達ともそれなりに会話の機会が増えている。それもあり回復や鑑定以外に攻撃魔法をまともに使える冒険者仲間として認められてきたのだが、ジェロ自身は色々と身構えているので残念ながらそのことへの自覚はない。


「皆、よく全員無事に帰って来てくれた。依頼への報酬はしっかり払うので受付で手続きをするように。長い間ご苦労だった。解散!」

ガニーの街の冒険者ギルドマスター、アンブリスの挨拶で解散となった。


もちろんジェロは冒険者達の実績管理、報酬を先払いした人と事後精算として利子を増やした人とを区別しながら、受付の補助を行っている。その間に、メオンがジェロの冒険者身分証を銅製に変更していた。

ある程度、受付での処理も終わったからか、コレットが寄ってくる。

「ジェロ、Cランクになったのね。おめでとう!鎧や刀の装備になって見違えたわよ」

「はい、ありがとうございます……」

「あら、そこは変わっていないのね。ところで、彼女のこと、教えてくれるかな?」

と指差した先に居るのはモージャンの街の冒険者であったリスチーヌである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る