第82話 モージャンの後処理2

『なぁ、あのアゼルフスって魔人、また来るかな』

『ここでの旨味は無くなったから、どこかに行ったと思うわよ』

『旨味って』

『冒険者が増える前はそれなりに被害者が居たでしょ?特にオークやゴブリンに襲われたような女性の悲痛な死亡体験は得られる魂の経験値として大きいから。契約悪魔に魂をあげるのが目的って言っていたし』

『もう人間、特に女性の被害者が出なくなったから、ここに居る必要がないと。ん?そういえばヴァルはダンジョンコア、魔人やオークたちの魂で、その格ってのがそれなりに上がった?』

『そうね。この前に使ったみたいに上級魔法も発動できるわよ。早くジェロ自身も覚えてくれないと目立つわよ』

『この大きな街にいる間に、図書館で色々な魔導書を見ておかないと』



それからしばらく、各街からの応援冒険者は引き続き街の周りの森の魔物、オークやゴブリンの退治を続けていた。以前と違い、次々と湧いて出てくるような気配が無いため、終わりの見える作業であり、また余裕が出たため休憩もそれなりに混ぜた業務配分であった。

冒険者達から絶望感が消えたことや、だんだんと納品されていく素材が減っていくことで、街の住民たちも平穏の近づきを感じて以前の活気を取り戻して行く。



ジェロは魔物素材の鑑定、納品などギルド職員としての業務をこなす傍ら、休みを貰えるときには有料の図書館に籠り、いろいろな魔法の詠唱文や魔法陣を研究ノートに転記しながら覚えていく。魔法カードは購入資金が無い客には、例え冒険者ギルドでも他街の職員に見せて貰えないから図書館しかない。

最優先は先日ヴァルが使用した上級火魔法の≪豪炎≫≪火槍≫≪炎壁≫であるが、そもそも中級の≪火炎≫も未習得であったので、まずはそれからである。幸いにして、オークやゴブリンなど実戦の練習相手が不足することはない。


魔法を色々と覚えるならばついでに、と便利魔法である水魔法≪水生成≫と光魔法≪灯り≫も習得した。

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