第67話 アナトマ商会

オークから助けたアナトマ父娘の商会に来て応接室に案内されているジェロ。

「先日とは見違えるような装備ですね」

「まぁ色々とありまして」

「もし私にお申し付け下さればお安くお納めしましたのに」

「いえ、甘えるわけには」

「そうですわ、今後はうちに是非とも来てくださいませ」

「これ、リリー。冒険者ギルド様にもそれなりの付き合いなどシガラミがあるんだよ」

「はい、ご理解頂き恐縮です……」

「それで本日はどういったご用件で?」


ジェロはここまで大きい商店とは思っていなかったのだが、この街の商会ならばモージャンの街の魔物が増えた時期や増え方、魔物の種類等を把握しているのでは無いかと質問をする。

「ジェロ様、それは冒険者ギルドでもわかるんでは無いのですか?」

「これ、リリー。ジェロ様はそれ以外の目線でも情報入手なさりたいのだよ」

ザールのプライドが邪魔したりする可能性については流石に言えないので苦笑いで返す。


アナトマの情報では、以前にガニーに大量に素材の持ち込みがあった少し前からという認識のようである。その辺りで急激に増えたらしい。それに増えた魔物は基本的にオークとゴブリンであるが、それらの棲息地が変わった気配もあるという。

先日アナトマ親子を助けた街道は前まではゴブリンしか見かけなかったのに、最近はオークばかりになってしまったという。それにここ数日ジェロ達がゴブリン狩りをしているところは比較的魔物が居ないはずのエリアであったはずとのことである。


「ところでこんな立派な店舗をお持ちのアナトマさん自らが馬車で仕入れに行らっしゃっていたのですか?」

「はい、他の街の冒険者の皆様に支援依頼をされると伺いましたので、この街でますます溢れそうな物を別の街で販売し、ここで不足しそうな食糧関係を仕入れて来たのです。この機会に街を出たことがない娘の育成のために2人で出張したのです。結果としては失敗の判断でしたが、ジェロ様のお陰で何とか。本当にありがとうございました」


折角なのでその仕入れたという食糧をガニーからの遠征隊のため買って帰る。かなり値引きされそうになったが、適度にと辞退しておいた。彼らにとって恩人とはいえ商人に借りを作るのは怖いと考えるジェロであった。

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