第62話 街道野営地

「今日もまずは馬車で昨日の場所まで移動する。しかし今日からは2泊して来るのでその準備を忘れずに」


先日は、森の街道のある拠点を中心に半日で往復できるところまでを30人で分散して対応していた。次に1日で往復できる範囲を探索するには4倍の面積となるので、昨日に済んだところを除いても3倍の時間がかかる上に、その場所への移動時間もかかる。それに、また魔物の村を発見した場合にはある程度の人数を集めて対処する時間が必要になる。

その次に1.5日で往復できる範囲を探索するには9倍の面積になり、それまでに済んだところを除いても5倍の時間や、移動時間、村の殲滅の時間がかかっていくことになる。


知らない場所、かつ魔物が急増しているという場所で最初から何泊もの野営をするのは危険であるため、まずは1日で往復の範囲を探索だけする前提で2泊とメオンは決めたのである。


「今日はここからここまでの方向を夕方に戻ってくる距離までで探索するように」

120度などとややこしい言い方をせず、時間も分かりやすく指示するのが多人数への指揮のポイントであると横で見て理解するジェロ。


「俺たちはここに仮の野営拠点を作るぞ」

馬車付近での留守番役であるギルド職員たちは、少しでも木々が少ないところを中心に、持参した斧を使って広場を作っていく。

「俺に任せておけ」

と肉体派というよりは脳まで筋肉、脳筋という単語がジェロの頭に浮かぶようなバスチャンが次々と開拓していく。ジェロは残った切り株を火魔法で燃やして邪魔にならないようにするぐらいである。


夕方になり順次戻ってきた各班の冒険者たちの調査結果と討伐結果や戦利品の確認を、メオンとジェロが中心になり行っていく。

「そうか、今日の範囲でもゴブリンばかりであり、ゴブリンの村が1つか。その村はいったん置いておいて明日も次の120度を探索して貰おう」

この日も軽傷者が少しだけであったので、ジェロの≪治癒≫魔法ですぐに治して早めの就寝を皆に促すのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る