第61話 モージャンの商会
ジェロとバスチャンは、モージャンの冒険者ギルド職員にお勧めの商会を教えて貰ってから、宿に戻り、魔石は宿に残して昨日の戦利品を代わりに持ってその商会に向かう。
「いらっしゃいませ。本日はどういったご用件でしょうか?」
「ガニーの街の冒険者ギルドです。戦利品の納品と、個人的な革鎧の調達に来ました」
「最近は魔物が非常に増えたようで、買取相場が下がっていることはご了承ください」
「はい、覚悟しています」
さすがに武具など嵩張るもので、しかも低価値のものをガニーの街まで持ち帰って納品する意味は無いので、少しだけでも現金化する程度と割り切って売却する。魔石は嵩張らないので、まだ一応手元に残すことにしてある。
「次は防具ですね。革鎧をご希望とのこと、こちらのコーナーになります」
「たくさんありますね」
「はい、ダンジョンの魔物を活かして色々な革素材の種類があることや、革だけでなく一部の場所に金属補強するという選択肢がありまして」
「俺のお勧めは、この胸部だけ金属補強したヤツだけどどうだ?」
バスチャンの示したものは確かに理屈として理解できるが、試着させて貰うとピンと来なかった。その金属部分を無くしたものを試着した方がしっくり来た。
「今まで鎧を着ていなかったので、急に動きにくくなるのと重さが増えるのは危険度が上がりそうなので、まずは革だけので慣れたいと思います。それにこれの方が金銭的にもお手軽ですし……」
「そうか、そういう考え方も分かる。実際に慣れていくことが大事だしな。しかし、この街の武具はガニーの街より安いな」
「はい、元々ダンジョンのお陰で冒険者様が多いので、素材もたくさん仕入れて安くたくさん販売できました。さらに最近は素材がもっと大量に入りますので原価が下がりまして」
「なるほど」
日本刀の手入れ方法を聞いてその道具も革鎧と合わせて購入して宿屋に戻る。
『いかにも事務職だったのが、それっぽい格好になったわね。鎧と刀なんて』
『馬子にも衣装か。舐められなくて良いかな』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます