第59話 ゴブリン村2
モージャンの森で発見されたゴブリン村に二手に分かれて攻め入ったジェロたち16人。
粗末な弓矢は覚悟した範囲であり、盾を持った冒険者を前列に押し進む。しかし予想外であったのが、ゴブリン村の中心付近から火の球が飛んできたことである。
「おい、ゴブリンシャーマンが居るぞ!」
「落ち着け。それでもせいぜいDランクだ」
「しかも1匹のようだぞ」
正直、ジェロは他人から攻撃魔法を受けるのも初めてであり、内心ではかなり焦っていたが、周りの冒険者たちはさすがに場慣れしているようである。ゴブリンシャーマンは詠唱が必要なようで、非連続に飛んできた≪火球≫も盾で上手くさばいていた。
『ジェロも頑張って』
ヴァルの励ましに応えるように、ゴブリンシャーマンが放った≪火球≫よりも高温であることが少なくともジェロには分かる色のものでシャーマンに反撃を行う。まだ少し怖いこともあり、過剰火力と分かっているが続けて何発も発動したら遠目には動かなくなったようである。
「こちらからの魔法はそんなものでいいぞ」
「後は任せておけ」
周りの冒険者の言葉に従い、念のために魔刀を抜いて構えたままゆっくりと進む。
一番後ろでおよび腰のジェロについては誰も気にせず、次々とゴブリンを倒して行き、反対側から侵入して来た8人の姿も互いに見えるほど中心部にたどり着く。
それからも特に危なげなこともないまま冒険者たちの活躍で一掃が完了する。
ここに来るまでと同様にジェロの前にゴブリンの死体と装備が運び込まれて、誰が倒したかの報告を受けつつ、ゴブリンたちの武具の鑑定も行い、持ち帰るものを選別する。
その間に、建物らしき物の中の捜索も終わったようで、身に付けていなかった武具がいくつか、ジェロの鑑定対象が増えるように運び込まれる。
結局ゴブリン村にはゴブリンシャーマンも含めて24匹のゴブリンが居たようであるが、シャーマンの杖が中級下位の魔法発動体であったぐらいで、他もたいした物は無かった。
確認が終わったので死体を含めて村を焼き払って撤収する。
少し遠くからもほぼ同時刻に煙が立ち上がりだしたので、もうひとつのゴブリン村も無事に一掃できたのだと想像された。
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