第58話 ゴブリン村

ジェロは15人の冒険者と一緒にゴブリン村に向かっている。

昨日、オークとの戦闘後に回復魔法を使っているのを見たからか、ガニーを出発する前に言われたように、回復役に対して余りに酷い対応をしてくる冒険者は居ないようで、ほっとしながら、15人の真ん中あたりを進んでいる。


こちらが15人も居てそれなりに音も出てしまっているはずなのに、それでも数匹ずつのゴブリンとは遭遇する。前日のオークの時のように、初めてのゴブリンを観察してしまう。人間で言うと成人女性より少し背が低いぐらいである。

もちろんジェロが何かする必要もないぐらいにCランクやDランクの冒険者たちが数匹程度のゴブリンは一掃して行く。どちらかというと、ジェロは冒険者ギルドの出張先業務に注力していた。

ゴブリンからは魔石以外に価値ある素材は取れないので、ゴブリンが持っていた装備、ろくな武器でないことがほとんどであるのだが、それらを鑑定して価値がなければ遠慮無く破棄できること、誰が何匹討伐したかの記録をその場でつけることで討伐証明を切り取る必要もなく破棄できることが、冒険者たちにとってのジェロの存在価値であった。

『ジェロも討伐メンバの1人みたいなものだから、魂は貰っても良いかな』

『他に魂を欲しがる人はここに居ないだろうし良いだろうけれど、魔物の魂ってそんなに価値があるのかな』

『人の魂ほど濃厚では無いと思うけれど、無いよりマシかな。それにしてもこの魂、生まれてすぐみたいで薄っぺらいわよ』

『うん?昔から居た魔物ではないってことか。最近のモージャン付近の魔物発生のヒントになるかもな』


到着したゴブリン村は、確かに森の中でも少し広い場所であり、そこに丸太などで組み上げたような粗末な建物らしきがいくつかある場所であった。

入り口らしきものも2つあるので二手に分かれて逃さないようにそれぞれから攻め入ることになった。ジェロも入れて8人組が2つである。遠目に見ても数十匹までは居ない感じであるので、冒険者たちも気負うことなく村に攻め込む。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る