第51話 オーク被害処理2

商人の父娘がメオンに事情説明していたのが終わったようで、ジェロに改めてのお礼に来たようである。

「ジェロ様と仰るのですね。親子ともども助けて頂きまして誠にありがとうございました」

「いえ、何とかなって良かったです」

「はい、妻はもうこの世に居ないので、残されたこの子に何かあったらと思うと……」

「ねぇ、それよりこの方は凄いのよ。オーク4匹を魔法であっという間に倒したのよ」

「あ、あの4匹!」

「おぉ、ちゃんと回収して来ているぞ。しかしジェロ、いつの間にあんな?」

「あ、ありがとうございます。まぁそれは追々」


「そろそろ一息ついたかな。モージャンの街まで後少し。アナトマさんの3台も合流して、出発するぞ」

メオンの声かけで商人の馬車3台も何とか立て直し、亡くなった護衛も荷台に乗せ、さらには今回倒したオークたちの死体や装備品も8台の馬車のあちこちに無理矢理積み込んで移動を再開する。

「ジェロ様はこちらにいかがですか?」

とリリアーヌに誘われるも、丁寧に断り元々の冒険者ギルドの馬車に乗り込む。


『あら良かったの?可愛い子なのに』

『良いの。それよりもどうなったのか教えてくれよ。契約ってあんな簡単にできるのか?』

これまでと同様に暇になる馬車の中でヴァルに色々と確認するジェロ。

本来は召喚したところで≪契約≫をするものが、何かとイレギュラーだったジェロとヴァルの関係、既に魔力供給はされてこの次元に存在し続けているということで基本的な契約状態にはなっていたようである。その上で、この次元で魔法発動をすることに対する意思確認が追加でなされたということらしい。そのため魔界にヴァルは戻ることなく継続してこの次元に存在できるようである。どうもこの次元の存在が異次元の存在に許可をしないと魔法が使えないのは世界の摂理らしく、今まで魔法を使えなかったのもそういうことらしい。その許可が、いつも言っていた魔法契約とのこと。

『これでさっきのオークみたいに魂が貰えるだけでなく、この次元で魔法を使えるわね』

『ヴァルはそれが嬉しいの?』

『魂を得ることも、この次元で魔法を使うことも、自身の格を上げていくことになるからね。確かにジェロについていれば楽しいけど、これからは実益も出てくるわね。ジェロに死なれると困るから、これからも手伝ってあげるわよ』

『なんか微妙だけど、ありがとう。これからもよろしく頼むな』

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