第52話 モージャンの街
商人アナトマたちと合流後は何事もなく、なんとか暗くなる前にモージャンの街に到着した。
とりあえずは一緒に冒険者ギルドまで一緒に行き、そこでアナトマ達は別れることになった。別れ際にアナトマから小さなメダルを渡される。
「この度は本当にありがとうございました。何かありましたらこのメダルでご連絡ください。このモージャンの街を拠点に商いをしておりますので」
ジェロは実物を貰ったのは初めてであったが、どうも前世での名刺より意味がある、信頼している相手にしか配らない物らしい。
丁寧にお礼をして別れるものの、この後の面倒の方を考えていて憂鬱になる。この冒険者ギルドのマスターは、ガニーのマスターが嫌いと聞いていたからである。
上司メオンとバスチャンの3人でギルドの窓口に向かい、マスターの部屋に案内される。
「ガニーの街の冒険者30人を連れて到着しました」
「ふむ、ご苦労。どの程度のことを聞いているのかな」
「はい、来られた急使の方から、この街の付近に魔物が増えたということだけです」
「そうか。その通りだ。ダンジョンではなく街の付近の森に、オークやゴブリンが増えたのだ」
「先程、街道で商人を襲っているオークと遭遇しました」
「そうだ、そういう話が頻発している。この街の冒険者だけでは対応しきれない頻度であり、ガニーを含めた他の街の冒険者の支援を頼んだ」
「失礼ながら領軍などはどのように?」
「ダンジョンを防衛するのでいっぱいだそうだ!いや、すまん。疲れを取ったら早速明日から森の魔物討伐をお願いしたい。この辺りだ。宿もこことここをガニーに割り当てさせて貰っている」
「かしこまりました」
他の街との分担も記載されたモージャンの周りの森などの略図や、街の中の宿屋の位置の地図をメオンは預かる。
部屋を出た後でバスチャンがメオンに愚痴を言う。
「応援に来た我々を立たせたままの態度、ちょっと酷くないですか」
「覚悟していたよりかなりマシな対応だよ。よほど今の状況が良くないのだろう」
「そうですか……」
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