第38話 初級冒険者

ジェロは先日もフロラリーに言われた自己研鑽のことを思い、仕舞い込んでいた冒険者カードを取り出す。


冒険者ギルドに冒険者として登録していることの身分証明書であり、誰でも登録できるが、一定期間連絡が取れないと抹消され、生存確認も兼ねられている。

冒険者はランク、級という格付けがされており、下からE・D・C・B・A・Sであり、それぞれ冒険者カードは木・鉄・銅・銀・金・魔銀(ミスリル)の素材で作られているため、例えばDランク冒険者は鉄級冒険者とも呼ばれる。それぞれ同ランクの魔物を1人で討伐できることが基準とされている。銅級から一人前であり、この級で一生を終える者が多い。



孤児院の子供たちは神殿や孤児院の手伝いが出来るようになった後は、少しずつ社会に慣れる意味と孤児院の運営に貢献するために冒険者ギルドに登録することが慣例になっていた。

ジェロも前世記憶が蘇った後は、異世界転生物語の定番である冒険者ギルドに登録、ということへの憧れもあり、シスター・フロラリーに付き添って貰って登録を行った。当然最初はEランクであり木製の安っぽいカードを見て喜んでいたジェロに対してヴァルは呆れる。

『そんなに嬉しいものかね』

『まぁそういうものなんだよ』


ただ、当然のように最初から魔物討伐など、武器や防具の用意も経済的に用意できるわけも無い上に、能力的にもジェロの性格的にも出来ない。

薬草採取などの依頼を、孤児院の少し年上と一緒に受けて、それらが自生している場所、採取の際に高く買い取って貰えるコツ等を教わるのである。

冒険者カードさえあれば、街の門も子供だけで出入りできる上に、通行料もなく無料である。

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