第35話 軽病治療魔法と解毒魔法

ジェロはシスター・フロラリーに手紙を貰ったので休日になると手土産を持って神殿に向かう。


「ジェロ、よく来てくれたわね。ありがとうね」

「はい、休みになれば来てとだけありましたので、急ぎでは無いのかと思いましたが」

「うん、この前の鑑定魔法のお礼。司祭様にも相談したのだけど、やっぱり早めにお礼をした方が良いとなったのよ」


神殿の孤児院出身というのと、神殿に対してならば奉納、奉公という考え方があるが、他所で冒険者ギルド職員が無料で魔法を使用することは問題になるのではないかと。冒険者なら依頼料を貰って行う事なのに、かなりな数の鑑定をお願いしたよね、と。

神殿として、金銭的なものでお礼というのも好ましく無いので、話していたように魔導書の閲覧が良いだろう、早い方が良いだろうとなったらしい。


「それで、孤児院にいたときに閲覧済の≪治癒≫≪回復≫以外の≪軽病治療≫と≪解毒≫の魔導書をジェロに見せる許可をして貰えたのよ」

「それらって、この神殿でも習得している人が少ない中級魔法だよね?」

「そうね。でもジェロが覚えた中級≪回復≫も少ないから、ジェロなら習得できると思うよ」


やはりこれらの魔導書も過去の2冊と同様に、魔法の解説のところで経典の引用が非常に多いのにはこっそりため息が出たが、現代魔術と古代魔術の両方の記載があったのはありがたかった。

「貸し出しはできないけど、この部屋でなら今日はじっくり読んで良いからね」

「ありがとう。頑張るよ」


古代魔術の方はまたじっくりと研究して習得することにして、そこを中心に研究ノートへの転記を行う。その上で、現代魔術の詠唱文や魔法陣に基づき練習をする。

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