第34話 モージャンの街2

そのモージャンの街の冒険者ギルド。


「で、その後の状況はどうなのだ?」

「はい、ザール様。やはりダンジョンの方の魔物の数が増えた気配はありません。ただ、地上の森でオークやゴブリン等の人型魔物の発見数が異常に増えていることは変わりありません。住民や行商人などに不安が広がっていますので、冒険者たちに多くの討伐依頼を出して何とかしのいでいる状況のままです」

「領主様の方は?」

「正直、あまりかんばしくありません。ダンジョンの街ですから、そちら向かいの防壁強化や護衛隊の訓練はしていても、一般の森の魔物は冒険者に任せるつもり、とのことです」

「何を!領民を守るのは領主の仕事だろうに……」


「ザール様、もう一つ懸念材料が」

「何だ、まだあるのか」

「はい。その何とかしのいでいる冒険者たちの数が少し減っているのです。素材などがたくさん取れることになったので買取価格が下がり、近くの街に売りに行っているようなのです」

「待て、この街はダンジョンからの素材買取があるから、買取価格の変動が発生するなんてそうそう無いだろう?」

「はい、それだけ大量の魔物を狩っているということです。冒険者たちも疲労が溜まった上に、買取価格が下がってしまうと」

「わかった。急ぎ、買取価格の下支えをするよう冒険者ギルドで補助を出そう。領主様にはその支援もお願いするのだ」


「あと、近隣の冒険者ギルドに支援をお願いするわけには……」

「この街の冒険者ギルドは、ダンジョンもあって街も大きく格上なのだ。兄貴分の我々が頭を下げるなど出来ん。特にアイツのいるガニーの街には絶対にな」

「……」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る