第30話 ヤンクイユ商会
≪簡易鑑定≫魔法を習得してからは、会計業務など以外に鑑定業務も受け持つことになったジェロ。
今日も朝から作業部屋に呼ばれていくとヴィクシムも来ていた。
「おはようございます、ヴィクシムさん。でもいらっしゃるなら私が呼ばれたのは手違いですかね」
「違うんだ。俺が頼んだんだ」
「え?体調不良ですか?」
「いや、昨日はなぜか膨大な素材納品があったようで俺一人では無理そうなんだ」
確かに積み上げられた魔物素材、痛んだ武具の数は日頃の量ではなかった。
結局、2人で次々と鑑定をして品質等のメモをそれぞれに仕分けしていく。
「ジェロ、何でそんなに早く回数をこなせるんだ?魔力切れは?」
「え?全然ですよ」
「嘘だろう?魔法陣を使わないだけでなく、もう詠唱破棄までやり出して、魔力消費は多いんじゃ無いのか?」
「子供の時からの訓練の成果ですかね?」
ヴィクシムは魔力回復のポーションを飲みながら鑑定を続けていたが疲労感に溢れたようで、その様子を知った2人の上司メオンはジェロのみで残りを行うように指示する。
「ジェロ、頼んだよ。後、俺はもうクタクタだから、商会への納品も頼むな」
「え、まさか?」
「もちろん、ヤンクイユ商会だよ。お前、モテていたからちょうどいいだろう?」
「だから違いますって……」
夕方になる前に何とか鑑定は終わったので、上司メオンに報告に行く。
「鑑定は終わりましたが、気になることが。魔物素材の量が日頃の発見数や討伐数を大幅に超えているのですが、何か問題があったのでしょうか」
「そうなんだ。しかし、どうもこの街の近くで狩ったのではなく別の街から持ち込まれた物らしい。商会にもその旨を伝えておいてくれ」
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