第28話 古代魔術と現代魔術

神殿で≪治癒≫魔法の魔法陣を教えて貰うときには、魔導書を見ながらであった。シスターも、詠唱文である現代魔術語は手書きで教えられても魔法陣は無理だったようである。

当時の司祭からは

「そんな優秀な子供が居るのですか、楽しみですね」

と言って簡単に閲覧を許可されたと聞いている。今になれば、シスター・フロラリーが話を盛ってジェロの自尊心をくすぐりながらやる気を高めるためであったのかも、とも思ってしまうが。


ジェロはシスターに見せて貰った魔法陣がフローチャートであるように理解したが、それ以外のページも読ませて貰った。

今、他の魔導書も知ったジェロにすると、解説が非常に長いのである。経典である神様の物語の引用が多く、この魔法がどのシーンでどのように使われているかが書かれているのである。当時は神の教えを広めるためと思っていたが、もしかすると魔法発動のイメージを膨らませるために必要であったのであろうか。


もう一つこの魔導書には特徴的な点があった。詠唱文と魔法陣が2種類あったのである。現代魔術と古代魔術である。シスター達には古代魔術であることだけはわかるが、中身は分からないという。

『ヴァルにはわかる?』

『もちろんよ。どちらかというと古代魔術の方が得意ね。現代魔術の方が後から人類に勝手に作られた簡易魔術だからね』


ヴァルの説明を聞いてジェロなりに理解したのは、この世界の現代語、現代文はアルファベットやひらがなのように文字だけでは意味が無い文字である。その少し前に世界で使われていた同じように文字だけでは意味が無い文字を使用するのが現代魔術語。もっと昔々に使用されていた、漢字のように文字だけでも意味を持ちうる文字を使用するのが古代魔術語。

現代が2種類でてきてややこしいが、ジェロなりに理解したのが、スペイン語を現代語として使用しているが、少し前のラテン語で現代魔術が使われていて、さらに大昔のマヤ語や象形文字のように表意文字も使われているのが古代魔術という感じなのであろう。


『ジェロの例えは良くわからないけど、大昔の言語が古代魔術語、ちょっと昔の言語が現代魔術語、今の言語が別にある3種類という理解で合っているわよ』

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