第22話 神殿地下室の回想
今日のジェロは、もっと顔を出すように言われた神殿に来ている。孤児院へのお菓子のお土産も配ったあと、シスター・フロラリーと面会している。
「え、エム?そうだったわね。ジェロとは仲良かったわね。というか、ジェロは年下の子たちの読み書きや特に計算の面倒を見てくれていたわね。中でもエムは覚えが良かったわね。突然どうしたの?」
「先日、職場の先輩に鑑定魔法の習得祝いで飲みに連れて行って貰った先で、ヤンクイユ商会で働いているエム、エマニックと出会って」
「そう、ジェロが見習いに行っていたのもヤンクイユ商会だったわね。ジェロが冒険者ギルドに勤めるようになった後に、彼女があの商会に行ったんだったわ」
「そうか……」
「ところで、鑑定魔法を覚えたの?ねぇ、神殿地下室の保管庫の色々を見て貰えないかしら。貴重品は司祭室だからたいした物が無いはずで、単なるガラクタは整理しないと」
「え?あぁまぁ良いけど」
「ありがとう!頼むわね」
『ここって』
『あぁヴァルと出会った場所だな。俺の記憶が蘇った場所でもある』
当時も今と余り変わらず、雑多な物が色々と保管されている地下室であった。孤児院でも手伝いができるようになった子供は神殿も含めて掃除など出来ることを分担していた。その日はジェロが地下室の掃除担当であり、棚をずらしながらホウキでホコリを掃いていた。壁の隙間から何かがはみ出しているのを見つけ、苦戦しながらつまみ出した。無理矢理やったので指に擦り傷ができ血がうっすら出てきたので口に含もうとしかけたけれど汚れているからダメかと思いながら、もう片方の手でカード形状の物を眺めてみた。
片面は無地でもう片面は幾何学模様など非常に複雑でありながら美しい物が描かれていた。美しさに見惚れて眺めているうちに、これって電子回路やフローチャートっぽいなぁ、いやプログラムっぽいところもあるなぁと頭に浮かんで来た。ジェロ自身には何のことだ?と一瞬思ったあとに、そう言えばシスター達が回復魔法を使うときにも、ぼんやりとプログラムっぽいと何のことかわからないまま思っていたことを次々と思い出して来る。そして目眩がしてうずくまったところで、パソコンの前に座りプログラミングをしていたことなど前世の記憶が凄まじい勢いで蘇って来た。
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