第23話 神殿地下室の回想2

神殿地下室で見つけたカードの魔法陣を見て前世の記憶が蘇ってきた子供時代のジェロ。

ますます目眩が酷くなり床に倒れ込むが、その際に血がにじんでいた方の手でもカードに触ってしまい魔法陣に血がついてしまう。


すると地下室の空気が何か変わった気がして目の前に、自分の顔ぐらいの大きさの女性がコウモリのような翼を背に浮かんでいた。美人であり、それゆえに余計に前世記憶からフィギュアという単語が頭に浮かぶが、まだ記憶の整理が出来ていないのかそれが意味する物が何かはわからない。

『あなたが呼び出したのかな?私の名前は悪魔ヴァルよ』

「何だって?」

『声に出さなくても頭で念じるだけで会話ができるわよ。私は悪魔ヴァル。あなたが召喚したの?』

『え?悪魔?召喚?』

『そこの魔法陣で召喚したでしょう?』

彼女が指したカードは両面とも無地になっていた。先ほど見惚れていた紋様が魔法陣だったのであろうか。前世記憶が少しずつ整理されてきて、この魔法の存在する世界の記憶とも融合していく中で、何となくそんなことを考えられるようになった。


『わざとではないが、そうかもしれない』

『では召喚した意図も無いのね。まぁ良いわ。契約をしましょう』

『いや!悪魔との契約はしてはダメと記憶が止める』

『何を言っているの?』


ジェロは何とかヴァルの誘いを断りつつ、大変なことをしてしまったと大人の記憶も融合してきた頭で考える。とりあえずシスター達に報告を、と無地になったカードを手に走って行く。


その後は、シスター達に話をしても、カードも無地である上にヴァルの姿は人には見えないようであり理解して貰えない。汚れた服を見たシスター達には、掃除中に頭を打って混乱したのだと片付けられてしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る