第12話 魔法カード2
前世の記憶では、高価なカードは1枚ずつを頑丈な透明プラスチックのケースに保管して取引されていた。通常のカードでも無造作に積み上げて扱うのではなく透明フィルムで両面が見られるアルバム、ストックブック、バインダー等で並べて閲覧していた。
この冒険者ギルドでもジェロが初めて見た時には無造作な扱いをされていたので、カードフォルダの冊子を手作りしている。
コレクターとしては、やはり両面がしっかり見えることにこだわった。この世界では安価で丈夫な透明素材が手に入らないため、カードの上部と下部の少しずつだけを挟み込むようにした。カード5枚を横に並べられるように、ロの字を横に長くした長方形の丈夫で薄い木枠を2枚合わせるのである。カードに触れる部分はフェルト生地のように柔らかい布をあてる。その木枠の左側を少し幅広くして縦に2つ並ぶ穴を開けて、何枚かを綴る紐を通して表紙と背表紙を作ればそれなりの冊子となる。これにより、カードの痛みを回避しつつ表裏ともに閲覧することを容易にしている。
ギルドの保管庫ほどの数はないが、ジェロ個人所有の少しずつ集めた魔法カードもこのカードフォルダで保存をしている。
久しぶりに見られたギルドの在庫では、やはり入れ替わりもあったようで初見の物がいくつかあったため、ジェロは研究ノートを取り出し必要箇所を転記していく。しかし転記が終わったところでため息をついてしまう。
『ん?どうしたの?楽しそうだったのに』
ジェロはヴァルが召喚されたカードが忘れられないでいる。非常に複雑でありながら美しい古代魔術のカードであった。同じと言わずとも似たものを探しているのであるが、今まで近いものすら見たことが無かった。やはり今回も量産型の現代魔術のものばかりであった。とは言って、それをヴァルに伝えるのは気恥ずかしいためごまかす。
『あぁ、ラベルの貼り直しをした方が良さそうだなと思ってな』
『ふーん』
言い訳だけでなく、ギルドマスターに言われたように整理をするために、実際にラベルの貼り直しの準備をする。
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