第10話 ご褒美
暗い雰囲気で神殿から冒険者ギルドに帰ってくるジェロ。
道中ではヴァルが気を遣って話しかけるが効果がなく途中からは互いに無言になっていた。
「ただいま戻りました」
「あらジェロ、お帰りなさい。今日の女の子のこと、すぐに動けてすごかったね!」
「いえ、そんな」
「そうそう、ギルドマスターが、ジェロが戻れば顔を出すように、って」
「はい、ありがとうございます」
暗さを職場まで持ち込まないように努めていたが、声をかけてくれたこれまた美人の受付嬢エルミリーに対しては、逆にいつものようにぎこちない対応となり苦笑いされる。
「失礼します。ジェロマン、入ります」
「おぅ、お帰り。ちゃんとシスターに会えたか?」
「はい、ありがとうございました。あの親子から貰う金額を含めて今回の経緯説明もしましたが、冒険者ギルドの対応で良かったと」
「そうか、他には?」
「はい、私の今後の寄付は給与の2割までに、と」
「ま、普通はそうだな。試験採用の時から増えてきた額を全て寄付にしていたからな。使う当てがないなら貯めておくんだな」
「はい……」
「それよりも約束のご褒美だ。またあれが良いのか?」
「はい!お願いします」
「ふむ、本当に好きだな。じゃあ今回は魔法カード、初級を1枚だな。お前の回復魔法により、実際には≪回復≫ポーションも使わずに同等の対価で銀貨5枚をギルドは貰った。銀貨2枚相当の初級カードが1枚で妥当だろう。どうせ選ぶ名目で全部見るのだろうから、休日にな。そのついでに整理も頼むぞ」
「ありがとうございます」
サラサラっと払い出し伝票にサインした物を渡される。
「今日の親子へのポーション払い出し、対価受け取りの伝票と一緒に処理しておけよ」
「かしこまりました」
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